健康長寿連続講座第2回「健康長寿はお口の衛生から」

肺炎予防のためのドライマウスと唾液の基礎知識
大阪大学大学院歯学研究科 高次脳口腔機能学講座
顎口腔機能治療学教室 教授 阪井 丘芳(たかよし)

2017年3月8日 大阪大学中之島センター

(レジメ)
医学の発展に伴い、優れた栄養摂取の方法が開発されてきましたが、人は人として、口を使って食事を楽しみながら、人生の終末を健やかにむかえたいものです。しかしながら、誤嚥(ごえん)を防ぐためには、医療現場では、口から食べることをあきらめざるを得ない場合もあります。超高齢社会に突入した日本において、口腔機能を維持するために歯科に対する期待は高まっています。
我々は、摂食嚥下(せっしょくえんげ)障害とその予備軍である口腔乾燥症(ドライマウス)患者の口腔ケア活動を行ってきました。一般的にドライマウス患者は口腔内の自浄性が低く、誤嚥性肺炎のリスクが高くなると言われています。どうして唾液が出なくなるのでしょうか?なぜドライマウスから肺炎が起こるのでしょうか?簡単にはなかなか説明できないと思います。
身近な病気だけでなく、薬剤の副作用、ストレス、環境の変化も口腔機能に影響を与えます。いくつかの書物が出版されていますが、なかなか対応のポイントがわかりにくいのが現状です。今回の講演では、実際に障害が生じる様子を示し、みなさまの明日の健康にすぐ役立つような知識と対応法をご紹介します。意外に知られていない高血圧症や泌尿器疾患とドライマウスとの関連、その予防法についてもできるだけわかりやすく解説する